八王子城は、標高446mの城山に曲輪や堀が広い範囲に残る山城です。比較的都心からも近く、訪れやすい山城だと言えますが、登山のためには足回り等、軽登山向けの準備が必要です。
八王子城は、JR中央線、京王線の高尾駅の北方にあり、高尾駅からバスに乗るか、もしくは、ふもとの駐車場まで自動車で行くといいでしょう。
八王子城は、城下町にあたる「根小屋地区」、城主北条氏照の館などがあった「居館地区」、戦闘時に要塞となる「要害地区」に、大まかに分けられます。
バス停「霊園前・八王子城跡入口」から都道61号線の「八王子城跡入口」の信号を左折し、すすんでいったあたりが「根小屋地区」となります。
北条氏照や家臣の墓なども、こちらにあります。
駐車場の手前にある八王子城跡ガイダンス施設は、八王子城と城主氏照についてわかりやすく展示されているので、まずは、そちらを見学するとよいでしょう。
駐車場から進むと、エントランス広場に屋外模型があり、山城の全体像を改めて確認できます。

管理棟のわきを、ガイダンス施設から続く道をそのまままっすぐに進むと、「居館地区」へと向かいます。
途中、右手のあたりに曲輪もありますが、私有地のため立ち入りが禁止されている場所も多いようです。
城山川をわたり、大手門跡から古道に出ます。このあたりが八王子城の正面口だったということです。この南側にも、太鼓曲輪が広がっているようですが、まだ足を踏み入れておらず、私自身の今後の課題です。
古道を進むと、曳橋にでます。

曳橋を渡ると、壮観な枡形虎口が現れます。石垣や石畳はなるべく当時のものをそのまま使用し、できるだけ忠実に復元したとのことで、戦国時代を実感できます。

石畳や石段を登っていくと、広い曲輪にでます。氏照の館などがあった御主殿跡です。発掘調査で建物の礎石や水路跡が出土しており、礎石の位置がわかるように復元されているので、当時の居館の様子などが想像できます。

この御主殿跡から山頂に抜けるルートがあるのですが、現在は立ち入り禁止となっています。以前、立入禁止のはり紙のない頃のぼったところ、当時の石垣が何段か残る様子がうかがえました。立入禁止はこれらの保全のためでしょう。

元の道に戻って少し先に進むと、御主殿の滝に出ます。八王子城落城時に北条方の武将や婦女子等が滝の上流で自刃し身を投じたため、城山川の水は三日三晩赤く染まったと伝えられています。
管理棟の場所まで戻り、山側にすすみ、登山ルートに向かいます。「要害地区」です。すぐに左右の分かれ道がありますが、左のルートを進みます。
のぼり始めてすぐのあたり、登山道の左側に、先程御主殿跡に向かう途中右手に見えた曲輪が見えます。
さらにのぼっていくと、登山道の左に、小さな曲輪が何段も重なっている様子がわかります。この山全体が城郭であることを確認できます。

やがて、やや広い曲輪にでます。金子三郎左衛門家重が守っていたと言われる「金子丸」です。

「高丸」とよばれる曲輪です。防御のために利用されたと考えられます。

見晴らしの良い地点を抜け、そのまま進むと、八王子神社のある曲輪にでます。この上が 「本丸」、右手が「小宮曲輪」、左手が「松木曲輪」となります。
「本丸」は、この城の最も重要な曲輪です。それほど広くない場所ですが、急な斜面に囲まれています。


「小宮曲輪」です。狩野一庵が守備していたと言われます。

「松木曲輪」です。ベンチが設けられ休憩場所になっています。高尾山方向の見晴らしがよくなっています。

このあたりまでが、一般的な八王子城攻略となるのでしょう。
この先は、さらに本格的な登山となっていきます。
少しご紹介します。
松木曲輪のあたりから、さらに、「大天守」という方向表示に沿って登山道を進むと、大きな堀切に出ます。「駒冷し」と呼ばれます。

さらに登山道をずっと進んでいくと、あたりは石垣が崩れた跡なのか、自然石なのか、登山道のわきやあちこちに石が見られます。このまま登山道をだいぶ進みます。

やがて、八王子城天守閣跡という石柱のある小さな曲輪に出ます。詰の城です。

さらにこの先に、大きな堀切があります。

さらに、その先をすすんでいくと「富士見台」というところにでます。天気がよい日は、富士山が望めます。ここはすでに八王子城の範囲から出ていると思います。このあたりまでくると、ふもとからだいぶ時間を要しますので、水や食料の準備も必要になり、それなりの準備が必要です。登山道がいくつも入り組みますので、道に迷う可能性もあります。十分注意が必要です。

八王子城は、都心から近く、ガイダンス施設なども整い、攻略しやすい山城と言えます。御主殿跡だけなら、普通の運動靴でも見学することは可能でしょう。しかし、一歩山に入ると、そこは登山になるので、十分な計画と準備、注意が必要となります。それなりの心構えを持って、登山されるといいと思います。
若かった頃、書店で見つけた本をきっかけに八王子城に来ました。まだ城にそれほど興味のなかった頃ですが、山のあちこちに残る曲輪や説明板をみて、すごいなあ、と思いました。思い起こしてみると、それが城に興味を持つきっかけだったのかもしれません。再びこの地を訪れたのは、それからだいぶ経ってからのことでした。最初に見たときより、いろいろなことが理解できました。以来、時間があるときに、時折、この地を訪れています。御主殿のあたりは発掘調査が進み、また、駐車場やガイダンス施設が整備され、とても見やすくなりました。築城から廃城まで、僅かな期間の城ですが、戦国時代の城の実際を、多く学ばせてもらっています。まだまだ攻略していないルートもありますし、立ち入っていない箇所もあります。今後も機会があったら訪れて、学んでいきたい場所です。
(写真撮影 2012.10 2016.2 2017.12)
参考:パンフレット「国史跡 八王子城跡」八王子市教育委員会 2020
八王子城公式ガイド http://tensho18.jp/index.ht

